私たちは戦争の無い平和な社会を実現したい、また世界から飢えや貧困を無くし、さらには環境と持続可能な社会の実現を願いながら、同時に何もできないという無力感にさいなまれているのではないでしょか?そんな私達に現実的な解決の処方箋を提示してくれるのがこの書である。
余裕資金を銀行などの金融機関に預けるが、そのお金で金融機関は日本の国債を購入し、日本の政府はその資金で米国の国債を購入する。その国債の一部は軍事費に使われ戦争へとお金が流れる。つまり、意図せずとも貯金をすることで、戦争に加担していることになる。私もそうだが多くの人がお金をどのように稼ぐか、またどれだけ貯金や投資することによって有利に増やしていくかということに目を奪われて、どこに貯金や投資をし、そのお金がどこに流れどう使われているかを考えるということに、頓着になっていることに気付かされた。
ヨーロッパでは「兵器産業には投資しない」あるいは「環境・社会に貢献する企業・事業のみに融資する」という経営方針をもった「社会的銀行(ソーシャルバンク)」があり、また軍事産業への投資を規制する法律もあるという。日本人を揶揄したエコノミックアニマルという言葉があるが、日本は経済を優先するあまり、社会的責任を放棄しているように思える。だが日本でも市民の側から戦争や環境破壊に使われない、かつ地域や社会のためになるおカネの流れを作ろうという動きがありNPOバンクが設立されているという。自分が預けたお金が良いことだけに使われるならNPOバンクに出資したいと思う反面、貸し倒れがほとんどないといっても、預金保険機構で預金が保護される一般の銀行とは違うという点でやはり足踏みをしてしまう。日本でも社会的銀行が受け入れられ、現在貸金業法に基づいて運営を行っているNPOバンクが銀行法に基づく銀行として認められ、元本が保証されるように発展していくことを心から望む。
スウェーデンでは環境や社会に「良いモノや活動」に税金を下げ、逆に「悪いモノや活動」には重い税金をかけるという「グッズ減税・バッズ課税」を実施しているという。人間というのは本当に利己的で、地球の環境が持続不可能なほど破壊されつつあると分かっていても、今までの行動を改めようとしない。しかし、「グッズ減税・バッズ課税」の政策は「良いことをして、悪いことをやめれば得をする」という人間の利己心とマッチしており、環境破壊を食い止める政策としてとても魅力的だと思った。この政策を実現するためにはもっと政治に関心を持ち、発言していくことが必要だと感じた。
本を読み終えてこの本が教えてくれた30の方法の中から自分にできることを考えたところ、フェアトレード商品を積極的に購入することだと思った。通常のコーヒー取引だと生産者の取り分は最終価格のうち、1%〜7%であるのに対し、フェアトレードの取引における生産者の利益の取り分は17%になるという。このように数字で示されると説得力を持つし、自分が購入する商品によって途上国の貧困を助長させることも、貧困を減少させることもできることを知ると、お金に自分の思いを託し何を購入すべきかについてもっと考えるべきだと感じる。
私は大学で経済を学び金融機関に就職したという経験があるのですが、経済を理解しようとすることに終始し、経済がもたらしている問題をいかに解決するかについて考えたり行動を起こしてこなかった自分を少し恥じた。そして同時に、この本によって現実的な問題解決の第一歩を踏み出してみたいと思うようになった。
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